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Q028:ゲーム会社は理系でないと入れない?
ゲームクリエーターの職種・学歴を調査したデータがある。
検索サイトで【平成21年 デジタルコンテンツ 先端技術 調査研究】で検索すれば見つかる。
『デジタルコンテンツ制作の先端技術応用に関する調査研究』という報告書。
http://www.dcaj.or.jp/project/report/pdf/2009/dc_09_03.pdf
このPDFを開いてPDFの検索欄に【(9) 現在の職種】や【(4) 学問系統】といれて検索すると、このデータが見つかる。
このデータから文理のどちらがいいのかを考えてみる。
まずは『(9) 現在の職種』をみてみる。
(9) 現在の職種
現在の職種は、「プロデューサー」が11.1%、「ディレクター」が9.0%、「プログラ
マー」が27.5%、「グラフィッカー」が21.6%、「プランナー」が11.5%、「サウンド」
が3.4%、「デバッガー」が1.3%、「ネットワーク・エンジニア」が1.7%、「その他」
が13.0%となっている。「その他」には、アニメーター、シナリオライター、スクリプタ
ー、メカエンジニア、システムエンジニア、制作進行、マネージャー、経営者・役員、ロ
ーカライズコーディネーター、広報などが含まれている。
現在の職種を性別にみると、男性は「プログラマー」が30.5%、女性は「グラフィッカ
ー」(44.3%)が最も多い。このように、ゲーム開発職においては、男性=プログラマー、
女性=グラフィッカーという緩やかな性別役割分業がみられる。 |
開発4職を多い順に並べると
(理系)「プログラマー」が27.5%
(絵系)「グラフィッカー」が21.6%
(不問)「プランナー」が11.5%
(音系)「サウンド」が3.4%
実際に一つの開発チームでも、各職の比率はこれに近い配分になる。
一人のプランナーが複数のプログラマーと組んだり、複数のデザイナーの納品管理する事はザラであるし、サウンドは1ゲームで関わるのが1、2名という事も多い。
もちろん、絵に重点を置いたゲームやシナリオに重点を置いたゲームなどもあるので、デザイナー多めやプランナー多めという事もある。
各ゲームでの比率を知りたい時は、ゲームをクリアした時に流れるスタッフロールで、職種ごとに数えればいい。特殊なゲームでなければ、このデータとあまり変わらない比率になるはずである。
次は『(4) 学問系統』をみてみる。
(4) 学問系統
学問系統は、「理・工系」(32.9%)が最も多く、続いて「芸術・表現系」が24.5%と
なっている(図5.3-03)。
これを最終学歴別にみると、専修学校卒業は「表現・芸術系」(36.8%)、高等専門学
校・短期大学卒業、大学卒業ならびに大学院修士課程修了は「理・工系」が最も多くなっ
ている(それぞれ50.0%、35.7%、65.9%)。
さらに、職種別にみると、プロデューサー、プログラマー、プランナーは「理・工系」
が最も多い(それぞれ32.1%、58.8%、23.6%)。それに対して、ディレクター、グラフ
ィッカーは「芸術・表現系」が最も多くなっている(それぞれ27.9%、67.0%)。
このように、理・工系および芸術・表現系の職業的レリバンス(学校教育の職業的意
義)は、ゲーム開発者にとって高い結果を示している。
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上記の内容から、プログラマーの「理・工系」の比率は58.8%ということなので、プログラマーは理系で問題ない。
また、グラフィッカーも「芸術・表現系」が67.0%なので、芸術系へ進めば問題ない(大抵は入試科目が文系よりなので、文系と思っても良い)。
プランナーは「理・工系」が一番多くて23.6%だが、4人いれば3人はそれ以外の学問系統であるともいえるので、あまり過敏に文理選択を考える必要は無い。
自分の得意学科と目指す大学の入試科目を元に文理選択をすれば良い。
『ゲーム開発者の生活と意識に関するアンケート2013 (調査結果速報)』追加
『CEDEC』から『ゲーム開発者の生活と意識に関するアンケート2013 (調査結果速報)』が発表されました。
http://cedec.cesa.or.jp/2013/enquete.html
http://cedec.cesa.or.jp/2013/documents/enquete.pdf
まずは職種の比率から。
項目が少し違うが2009年度の調査とくらべると
プロデューサー11.1%⇒3.6%
ディレクター:9.0%⇒11.2%
プログラマー:27.5%⇒32.6%
グラフィッカー:21.6%⇒15.9%
プランナー:11.5%⇒11.0%
サウンド:3.4%⇒5.3%
とこのように推移している。
プロデューサーが大きく減っている。ソーシャルゲーム市場拡大でタイトルは増えている気はするんだが、小規模なタイトルが増えたせいでプロデユーサーが複数のタイトルを兼任する事が増えたせいなのだろうか?
プログラマーはかなり増えている。他の細かく分派したプログラマーも含めれば40%を超えているかもしれない。これはソーシャルゲーム市場の影響と、大きくなった会社であれば自社エンジンを開発する事もあるので純粋なプログラマーが必要になっのかもしれない。
予想外なのはグラフィッカー。ソーシャルゲーム系はカードゲームタイプのほうが盛況なので、イラストレータぽい事をする人が増えてもおかしくないのだが、人が多数必要すぎて逆に社員でなく外部の人で間に合わせる事が増えたのだろうか?
プランナーはほぼ横ばい。
サウンドがちょっと増えているね。
このデータは速報でデータのみの報告書なので理由等の考察については載っていないが、そのうちこの報告書の正式版がでるらしいので、そこで考察されると思われる。
次は最終学歴の学問系統
2009年度に比べて項目がもっと具体的なものに変わってるのでちょっと比較しづらいが、職種比率的に多いプログラマーやグラフィッカーの適学部に相当する学部はやっぱり多いのは変わってない。
ゲーム会社に入るために必要なのは個人のスキルであって、学部や学科にあまりこだわる必要は無いと思うが、「自分の学部からゲーム会社に入れるのか?」が気になってしかたがない人は、Q7の表から「文学の学科から入れる可能性は情報工学の学科から入る可能性に対して、4.9:23.9ぐらい」のような感じで心を安らげるといいかも。
まぁ「理系でなくても入れるよ」という結論自体はかわってない。 |
『ゲーム開発者の生活と仕事に関するアンケート調査2014 速報データ』追加
『CEDEC』から『ゲーム開発者の生活と仕事に関するアンケート調査2014 速報データ』が発表されました。
http://cedec.cesa.or.jp/2014/outline/enquete.html
http://cedec.cesa.or.jp/2014/documents/enquete.pdf
まずは職種の比率から。
項目が少し違うのであまり変わってない。
グラフィッカー・CGがちょっと減っているのが少し気に成る所。外注を使う所が増えたのかな?
注目すべき所はシナリオライター。
存在が不明だった職種だが、このデータで2%ほどいることが判明した。まぁそれでも、サウンドクリエーターより少ないとはどんだけレアな職種なのか……。ソシャゲー系は乙女ゲーム等のお話を中心にしたゲームが結構あるようだから、そのへんの会社の台頭でシナリオライターを抱えている会社が増えたのかもしれない。
次は最終学歴の学問系統
項目がガラっと変わって比較しにくいが、あまりかわってないようにみえる。
よく人文や語学系でゲーム業界に入れるのかという質問があるが、これをみる限り8.2%もいるので十分望みはあると思う。
今回ので気が付いたが、
○航空・宇宙・船舶・海洋工学系 0.0%
○医・歯・薬系 0.0%
○看護・保険・衛生系 0.0%
の系統の人がいないんだな。
まぁゲームクリエーターより儲かりそうな職種の方面だし、目的がはっきりした学問だから、いないと言われればそんな気がする。
でも、宇宙船に詳しい人や手術に詳しい人や養護に詳しい人がいたほうが便利だと思うんだけどなぁ。
そんなジャンルのゲームもあるし……、もったいないな。 |
『ゲーム開発者の生活と仕事に関するアンケート調査 2015』追加
『ゲーム開発者の生活と仕事に関するアンケート調査 2016』追加
『CEDEC』から『ゲーム開発者の生活と仕事に関するアンケート調査 2016』が発表されました。
http://cedec.cesa.or.jp/2016/outline/enquete.html
http://cedec.cesa.or.jp/2016/documents/enquete_2016.pdf
まずは全体の学問系統
ゲーム会社には色んな職種があるからどの系統からも満遍なくいますな。
特に比率の多い部分は、電気・電子・通信・情報工学系、芸術工学・メディアサイエンス・ゲーム・エンターテーメントテクノロジー系、芸術・表現・音楽・デザイン系で、それぞれ、大学からのプログラマー、専門からのプログラマー等、CGデザイナーやサウンドクリエーター、が想像される系統だから当然といえば当然かな。
今回はもう一つ面白いのがあったのでそれも張っとく。
職種別の学問系統の統計。
よくある質問に「○○に成るにはどの学部へいけばいいの?」というのがあるが、それにストレートに答えたデーターと言えるかも。
プログラマーは「エンジニア:電気・電子・通信・情報工学系(35.6%)」。
CGデザイナーは「アーティスト:芸術・表現・音楽・デザイン系(58.0%)」。
サウンドクリエーターは「サウンドクリエイタ:芸術・表現・音楽・デザイン系(43.1%)」。
プランナーは「プランナ:芸術工学・メディアサイエンス・ゲーム・エンターテーメントテクノロジー系(18.5%)」。
辺りがねらい目になる。といっても多くて60%もいかないし、プランナーなんか一番多い系統でも20%も無いって事だから、どの学科でも狙えるけどね。
「プロデューサ:経済・経営・商学系(18.2%)」はまあ当然といえば当然。偉い人が成る職種だから。現場の開発をする訳じゃないから人事や経理や出版や銀行からの転職の人でもできるし、責任を持つ部分が開発資金やスケジュールや売り上げだから、経営に向いた人は成りやすい。
「ディレクタ:芸術工学・メディアサイエンス・ゲーム・エンターテインメントテクノロジー系(25.2%)」は、プロデューサー同様偉い人が成る職種だが、仕事が現場開発の指揮なので、このあたりはまだ現場経験をしてきた人が就きやすいためと思われる。 |
『ゲーム開発者の生活と仕事に関するアンケート調査 2017』追加
『CEDEC』から『ゲーム開発者の生活と仕事に関するアンケート調査 2017』が発表されました。
http://cedec.cesa.or.jp/2017/outline/enquete.html
http://cedec.cesa.or.jp/2017/documents/enquete_2017.pdf
でた事はでたんだが、ちょっとおかしい。
今回は「文学・語学・史学・文化人類学系」が異常に多い。
前回とあまりにも違いすぎる。
単純に文学系が多いだけなら、シナリオ請負集団とかその系統の人達が今回のアンケートに多く回答したとか考えられるが、それなら影響を受けるのは「プランナー」あたりだけになるはずだが、「最終学歴の学問系統【職種別】」の集計結果は「サウンドクリエーター」を除く全職種で「文学・語学・史学・文化人類学系」が「最も多い最終学歴の学問系統」になっている。
一応文学系学科出身の人もいる事はいるんだが、あくまでその専門の学問の出の人が大半で、それ以外の系統の学問の人が多数派になるほどは多くは無い。
特に「エンジニア」や「アーティスト」の専門職は、専門学校学科や美大やプログラム学科以外の人が入り込むなど至難の業な所。多数派になるなどありえない。
文学系だけで全職種を揃えた特殊な会社が参加したとか、あるいは、カテゴライズのミスかカテゴリーの入力がわかりにくかったか集計のミスとかがあったのかはわからんけど、今回のデーターは信用しないほうがいいと思われる。特殊な状態すぎる。まぁ、信用したとしてもこう文学系だらけだと進路の参考にもしようがないから使いようもないけどね。
後、気になる点としては、唯一「文学・語学・史学・文化人類学系」以外が多数派になっている「サウンドクリエーター」。「電気・電子・通信・情報工学系」が多数派になっている。
「サウンドクリエーター」は変わった経歴で入ってくる人が多く、その中でも昔多かったのが、ヤマ〇やカワ〇などの電子楽器の技術者の仕事をしていた人が一念発起して転職でゲーム業界に入ってくるケース。そういう技術者は理工系学科の音響工学や電子音などの研究をしてたりするから。昔からの人が今回のアンケートの回答者に多かったのならこういう結果がでても不思議では無い。絶対数が少ない職種だから多少の人の参加の偏りで変動が大きそうな職種だし。
でも、最近のサウンドの人は音大や音の専門学校の多いとは思っている。ゲーム会社の先輩紹介やサウンド請負の会社のクリエーターの学歴を見るとやっぱりそういう学校出の人が多いから。 |
『ゲーム開発者の生活と仕事に関するアンケート調査 2018』追加
『ゲーム開発者の生活と仕事に関するアンケート調査 2019』追加
『ゲーム開発者の生活と仕事に関するアンケート調査 2022』追加
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リンクの許可の状態
財団法人デジタルコンテンツ協会 |
『デジタルコンテンツ制作の先端技術応用に関する調査研究』中の「5. ゲーム開発者の就労意識とキャリア形成の課題」章内の『(9) 現在の職種』【(4)
学問系統】を引用 |
メールで使用許可をもらえた |
CESA |
『CEDEC』の『ゲーム開発者アンケート調査』のコーナーの各年度のデータを使用。 |
リンクや使用の許可を頂けました |
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